MANGADORON「不発弾」特別企画
ゆうたレッド・須田信太郎
「不発の対談」〜第二部〜

2013年9月15日。三軒茶屋、某居酒屋にて。
「不発弾」という言葉への思いから、お互いの作品までをまだまだ話す。
マイノリティの情景、血と汗と愛情、進む進むビールな、対談、第二弾。

聞き手:tama-chan(sealworks)

「江戸川ハートブレイカーズ」を手に。

Y: や、いいすか!?こういうこと言って。須田さんの漫画のすごいなって思うところがあって。

S: う、うん。いいよ。(笑)

Y: 話とかマインドももちろん好きなんですけど。須田さんの漫画ってコマ割りとか、ページの構成がすばらしいと思うんですよ。この話*1ね!浅野井がアサミちゃんの合コンに乱入して、帰って勝又さんすらボコボコに蹴りまくって。
で、このシーン!次の日に浅ちゃんが土手で凹んでるシーン、ゴミ箱しか見えてない浅ちゃんの視界に突然アサミちゃんが入ってきて、浅ちゃんがびっくりして首がひょーんと伸びるシーン。土手の下を覗き込むんだよね。すっごい極端な構図なの。


■ ゆうたレッド(左)
MANGADORONの歌とギターを担当。
プロレスは好きだけどちょいちょいつまんでる程度なので、色々頭が上がらない。
一番ハマった団体は、全日本女子プロレス。
http://mangadoron.com/
https://www.facebook.com/Mangadoron

■ 「このシーン!この!このコマ!」

こんな極端な構図が江戸川の風景と一緒に、浅ちゃんの心象風景を最高の形でね、す〜っと表現しちゃう、自然に読めて、場面に移入できちゃう。すごいと思うんだよな。 スケーターの話もそう。勝又さんが自転車のカゴにチンピラ突っ込んで、ジャンプ!の、この構図ったら。

多分、勝又さんはすごく言いたいことがあって、でも絶対うまく説教なんてできなくて。その強い思いが爆発する。伝わるんですよ。すごいパワー。

S: あはは、よく読んでるね。(笑)


盲目にやれない、迷うことの
大事さもあるよね。

T: 須田さん的に面白かったとか、いいなって曲ありますか?

S: 俺は断然「ロケット」だな。絵が浮かぶんだよね。
彼女は残ってるんだよね?地球に。見送りは彼女も来てるけど、その他の大勢の遊び仲間たち・・・主人公とは軽い付き合いの10人弱のオトモダチも、一緒に見送りに来てる。このオトモダチたちは主人公がロケットで遠くに行くことに対して、なんとも思ってないんだよ。(笑)
ロケットがドーンって飛んでって、「あー行っちゃった~」で、「打ち上げどうする~?つぼ八にする?カンパーイ!」って。
だから、彼女に対して、主人公は「君だけは・・・僕のコト思い出してよ・・・」みたいな・・・。

■ 須田信太郎
「江戸川ハートブレイカーズ」著者。作品内のキャラクターの台詞「ばか!俺は今のプロレスは嫌いだ!」には並々ならぬこだわりを感じる。
http://manga-suda.com/


で、すれ違った帰り道のロケットには勝又とか浅野井とかが乗ってて。彼らは旅が終わって、もう白髪とか混じってて、うれしそうに。「わー、帰れるー」って。

T: 自分で志願して乗ったくせに、後悔してるんすよね。(笑)

Y: 結構、まさに、そういう感じです。(笑)
自分で行きたくて乗っかってるのに、なんだかなあってまた思ってる。誰にも分かってもらえない、自分では口に出しにくい感覚。女々しい感じ。 メンバーも一緒に乗ってるのかいまいち分かってなくて、乗っててくれたらうれしいんですけど、どうだろう。

S: あと、「オリンピック」よかったよ。

T: あれ、いいですよね。

Y: オリンピック選手ってすごいなーと思って。でも、まーよくやるなー、って思って。

T: オリンピック出れる人って、子供のころから「オリンピック出るぞ」って思って、努力して大成してるんですよ。すごいんですけど。そこまでストイックにやれる気はしないんですよ。すごいけど。僕はそこまで盲目にやれないよなって。

S: アスリートって、体に悪いよ。最高の状態に持っていかないといけない。下手したら、ドーピングとかしたりしてやんなきゃいけない。

■ tama-chan(sealworks)
ゆうたレッドの前職の部下。
本人は総合格闘技指向だが友人には新日本プロレス好きが多い。
「中邑真輔のボマイエ集」動画を無理矢理見せられ、実は少し食傷気味。
http://www.messmedia.tv/

T: そう。そこまでしてやる意味って何だろう、って、自分だったら見いだせるかな?無理じゃないかな?って思うんです。
アスリートもミュージシャンも、表現する人はどっかぶっ飛んでて、何かを訴えたくて。できない人は日の目を見れないというか。でも、できない人は、以外と常識的で、ちょっと叩かれたらカタにはまっちゃって。突出している人はぶっ飛んでて。

S: 俺もそう思う。

T: 僕らはそこにたどり着けなくて今こんな生活をしてる。考えさせられるんですよね。

Y: これ、分かりにくい例えなんですけど、富士山*2に登山するとして。
要領のいい人は段取りして体作って、登山道を最短ルートでばーっと上るんですよ。
でも、ダメな人はグルグル山の周りを回ったり道に迷っていつのまにか5合目のお土産屋に戻ってきちゃったり・・・。

S: まどろっこしい例えだなー。(笑)

Y: でも、じゃあ、グルグル回り道しないと見れない景色だったりね、迷って悩んだり、面白い形の石拾ったり、超珍しい花が咲いてたり。例えば1日で行けるところを1週間かかったとして、歩いた距離は何十倍で。その距離に意味はないんだろうか。使ったカロリーは無駄だったんだろうか。そんな事は無いだろう。そういうのはよく思う。


ひねくれてるけど・・・

S: PRIDE GRANPRIXで、田村潔司*3と吉田秀彦*4がやったんだけど、アオリのVTRで元五輪選手の吉田秀彦の一言。「U*5ですか・・・どうなんですかね・・・」。
これは俺の心に火をつけたよね。

Y: 「Uですか・・・」ってのはねぇ。

S: 俺、吉田秀彦全然嫌いじゃないんだよ。ぶっ飛んでるよね。
講道館でがんがんやってきてガチンコやってきて、ヤバいぐらいに強いよ。でも、でも、オリンピックみたいに始めからしっかりしたものじゃなく、総合格闘技というものを寄り道しながら一から創ってきた「俺たちの青春のUWF」に対して・・・「どうなんですかね・・・」って、バカにしてるよね。もちろんVTRは作ってあるもんなんだけどさ。ちょっとカチンときたよね。

S: 例えが変わるけど、J-POPとかさそういう感じの音楽にある、「これは悲しい歌」「これはうれしい歌」ってのに、用意されて乗っかてくってのはさ。微妙な感じだよね。
「この歌はどういう意味があるんですか?上げもしない悲しみもしない。どういう使い方があるんですか?効用は?」っていうのは、微妙だよね。オリンピック選手と比べちゃ失礼かもしれないけど。

S: オリンピック東京でやるのは悪くないからさ。あんまり言うのもアレだけど。ゆうたレッドの「オリンピック」はいい皮肉が入ってるんだよね。誰が聞いても皮肉を感じるよ。


T: 皮肉はすごく感じますよね。

Y: 不発弾といい、オリンピックに出れないタイプの人といい。マイノリティとされる中にも沢山いるはずの、愛すべき人たちってのは、もうちょっと、ちゃんと愛されていいと思うんですよね。愛されたくないですか!?って、素直に言えばいいのに、こんな歌にしちゃって・・・ひねくれてるなあ(笑)


*1 この話: 「江戸川〜」第二巻収録、「ドント・ビー・ヒクツ」。浅ちゃんがアサミちゃんにすごい残念なアタックをかける、甘酸っぱくて痛快な話。
*2 富士山: ゆうたレッドは、言っても1回だけ登山。高山病で7合目でゲロ吐きながら下山した。
*3 田村潔司: UWF、UWFインターナショナル、リングスを経て現在はU-FILECAMPを主宰。数々の総合格闘技団体に参加するも、UWFスタイルプロレスへのこだわりを持つ。
*4 吉田秀彦: バルセロナオリンピック柔道男子78kg級金メダリスト。オリンピック後はプロの格闘家として活躍。現在は柔道界に戻り、師範代・監督を勤めつつ、現役復帰への意欲もにおわせる。
*5 U: 格闘技色を打ち出したUWFと、その血統にあたるプロレス団体。






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「不発の対談」べろべろな第三部へ続く。(COMING SOON!!)

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